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吉野弘さんの詩

昨日は、kokuzo姉のお誘いでハナという韓国映画を見てきました。
号泣。
1991年、「北朝鮮と韓国の卓球統一チームを作って、中国に勝つ」という実話をベースにしたストーリーでした。
何人(ナニジン)であっても感動するような映画だと思いました。

北朝鮮の選手役の女の子が以前に見た是枝監督の「空気人形」の主役の女性でした。この映画では空気人形の役なので非常に表情に乏しい役ですが、それでも悲哀を伝える事ができているので、きっと雰囲気を作るのが上手なんだろうなぁ。今回の卓球選手役でも、一見冷徹な感じの表情に乏しい役柄だったのをとても上手く演じているように思いました。

そんなことをグダグダ考えていると、「空気人形」のなかで出てくる詩がとても良かったのを思い出して、検索してみると吉野弘さんの「生命は」というものだということが判明。(こういうときつくづくネットを有り難いと思うわ〜)
映画を見たのは確か3年前の夏かな。。。今読んでみても良い詩だ。特に中盤が好き。
映画の中では空気人形が感情の起伏が無い感じで詩を読むんだけれど、映像は逆に凄く柔らかい優しいものになっていてその調和がまた良かったような記憶がある。

吉野弘さんって国語の教科書にも詩が載っていた気がするけど、思い出せない。
大正生まれで今もご存命とのことです。
先日行った後輩の結婚式でどなたかが読んでいた「祝婚歌」というのも吉野弘さんの作品だそうで。
知らないと知らないことなのに、一旦知ると物事って繋がるのね〜。


「生命は」

生命は
自分自身で完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思えることさも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光りをまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
by hpylori | 2013-06-24 22:52 | 映画

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